埼玉県所沢市を拠点に長年地域の物流を支えてきた「丸義急送」が破産開始決定を受けました。
コロナ禍の影響、経営者の死去、そして物流業界の構造変化がどのように同社を追い込んだのかを解説していきます。
所沢の運送会社「丸義急送」が破産へ
一般貨物自動車運送業を手がけていた丸義急送(埼玉県所沢市)は、2024年10月27日付でさいたま地裁川越支部より破産開始決定を受けました。
破産管財人には西本昌弘弁護士(埼玉所沢法律事務所)が選任されています。
東京商工リサーチ埼玉支店の発表によると、負債総額は2億4196万円(2024年3月期末時点)に上ります。
大型トラックで地域物流を支えた老舗企業
丸義急送は1997年7月の設立。当初は「グリーン」という社名で、土木・舗装工事も手がけていました。
2010年3月の社長交代を機に運送事業へ一本化し、同年6月に現在の社名へ変更。
大型トラックを主軸に、古紙・食品・雑貨など幅広い品目を取り扱う総合運送会社として知られていました。
所沢・入間・狭山といった西武沿線エリアを中心に、地域物流を担う中堅業者として長年活動してきた企業です。
売上ピークから半減 コロナ禍で深刻な打撃
ピーク時の2020年3月期には売上高5億2667万円を計上。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大によって物流需要の構造が変化し、21年3月期には赤字転落。
その後も代表者の死去や燃料費高騰、人材不足などが重なり、業績は下降線をたどりました。
2024年3月期の売上高は2億7375万円まで減少し、再建の見通しが立たなくなったため、今回の破産申請に踏み切った形です。
埼玉県内で増える中小倒産 物流業界にも波及
東京商工リサーチによると、2024年度上半期(4〜9月)における埼玉県内の倒産件数は12年ぶりに210件台へ増加。
このうち小規模企業が7割超を占め、負債10億円以上の大型倒産も3件確認されています。
運送業は燃料費の上昇、ドライバー確保難、荷主からの運賃交渉力低下などが重なり、コロナ後も利益確保が難しい構造的問題を抱えています。丸義急送の破産も、その流れの一端といえるでしょう。
所沢発の地域企業が残した教訓
丸義急送の破産は、単なる経営不振ではなく地域物流の限界と時代の転換点を象徴しています。
中小運送業者にとって、単独での生き残りはますます難しくなっており、共同配送・M&A・デジタル化といった対応が急務となっています。
所沢という物流拠点で長く地域を支えてきた企業が姿を消したことは、同業他社にも大きな警鐘を鳴らす事例といえるでしょう。

